神戸市の指揮体制
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神戸市の指揮隊には「指揮隊」と「統括指揮隊」の2種類、そして別部隊として監察業務を行う「本部監察隊」があります。
指揮隊には指揮隊員と中隊長(消防司令)、統括指揮隊には指揮隊員と中隊長、及び指揮隊長(消防司令長)が乗車しています。
神戸市では第2出動までの現場指揮者は中隊長もしくは指揮隊長で、現場では他の部隊と協力して指揮を執ります。
第3出動が掛かった際は所轄の消防署長(消防監)が大隊長として現場に赴き、指揮権が中隊長から大隊長へと移行します。
しかし実際は指揮権が移行すると言っても移行後も中隊長が指揮を執る事が多く、概ね大隊長は監査役となります。
昔は署長が管轄区に住むよう決まっていたため第二出動などで出動していましたが、本部指揮隊*発足後に変更されました。
*本部指揮隊は2013年9月末で解体されました
基本的に指揮隊は1災害に対して1隊出動する体制を取っていますが、
建物火災などは所轄の指揮隊に加え隣接区の指揮隊も出動し、この2隊が合同で指揮にあたります。
この際、片方が指揮隊である場合にはもう片方を統括指揮隊とし、必ず両方の指揮隊を出動させています。
ちなみに、隣接区の応援に行っている間に管轄の区で災害が発生した場合は、引き揚げられる様であればすぐに引き揚げ、
それまでの間は管轄区の部隊の中で最も階級の高い小隊長が中隊長代行として指揮隊到着まで指揮を執ります。
所轄の指揮隊が転戦出来ない場合は、隣接の別の署の指揮隊が指揮に当たります。
指揮隊・統括指揮隊
指揮隊は市内10の消防署(本署)と北神分署に、計11隊が置かれています。
灘・水上・北神・兵庫・須磨・垂水に置かれる指揮隊には、中隊長(消防司令)と指揮隊員の2名が乗車しています。
東灘・中央・北・長田・西に置かれる統括指揮隊には、さらに指揮隊長(消防司令長)が加わり、3名が乗車しています。
中隊長、指揮隊長はオレンジ色のヘルメットを被り、指揮隊員は消防隊と同様の銀色のヘルメットを被ります。
紺色のしころには「○○指揮」と書かれています。(例:中央署指揮隊であれば「中央指揮」)
現場ではそれぞれ以下の様な役割を持って活動を行います。
指揮隊員 機関員を担当。現場では指揮台を広げて指揮所を開設し、活動記録や無線交信を行います。
中隊長 現場指揮者として、出動各隊に対して統括指揮の活動方針に基づいた部隊運用指揮を執ります。
統括指揮隊の指揮隊長が指揮を執っている場合は、その指揮下で局面指揮などを行います。 隣接指揮隊の応援中隊長も、死角となる場所などで局面指揮にあたります。
指揮隊長 統括指揮隊の長として、大局的見地から現場での活動方針を指示します。
指揮隊長は中隊長より階級が1つ上ですが、部隊運用の指揮権は中隊長にあるようです。
ただし統括指揮隊は運用が始まってから日が浅いため、所轄ごとに細かな運用は異なるようです。
発足時の方針では、指揮隊長は現場最高階級者として警察や関係機関との連携などを担当し、
中隊長が部隊指揮に専念できるようサポートする事が役割とされています。
中隊長・指揮隊長 防火帽 |
中隊長・指揮隊長 活動帽 |
近年の動向
2010年4月、指揮体制が大きく変更され、従来2名体制の指揮隊に指揮隊長が追加され、西と北の指揮隊が3人体制となりました。
さらに2013年10月からは本部指揮隊の解体に伴い東灘・中央・長田にも指揮隊長が配置され、統括指揮隊と名付けられました。
これにより火災出動で現場に来る指揮隊2隊のうち、どちらかには指揮隊長(消防司令長)が乗車している事になるため、
市内のどこで火災が発生しても必ず消防司令長が現場に出動できるようになりました。
となるとそこで気になるのが垂水区の南側、須磨区寄りでの災害。
垂水にも須磨にも指揮隊長がいませんが、この場合には須磨指揮隊ではなくさらに隣の長田区から長田指揮隊が出動してきます。
(そんなことなら指揮隊長の配置を灘・北・兵庫・須磨・西にすればいいのに・・・ゲフン ゲフン)
〜兵庫県隊指揮隊としての活動〜
これまで兵庫県隊指揮隊は本部指揮隊が行ってきましたが、2012年10月、
総務省消防庁から神戸市消防局に都道府県指揮隊車が無償貸与され、北消防署に配備されました。
これに伴い緊急消防援助隊兵庫県隊指揮隊の担当部隊が変更されました。(この時点で既に本部指揮隊の解体に備えていたのかも・・・?)
県指揮隊車は緊援隊出動要請後すぐに出動出来るようにとの理由から、本部指揮隊ではなく署指揮隊への配備となりました。
また、当番者で即時出動するということは兵庫県隊長を務めることの出来る課長級の消防司令長が必要であり、
担当部隊はこの消防司令長が乗る統括指揮隊(東灘・北・中央・長田・西)である必要があります。
しかし1隊3名の指揮隊では人数が足らない為、緊援隊出動時には以下の表の様な組み合わせでの出動となります。
通常は北指揮隊と西指揮隊を組み合わせての出動となりますが、例えば西指揮隊が出動中であれば北指揮隊&東灘指揮隊のコンビ、
他にも北指揮隊が災害出動中であった場合などは、西指揮隊と東灘指揮隊の組み合わせで兵庫県隊指揮隊として出動します。
ちなみにこの時の県隊長は西指揮隊長が執ることになります。
ただし車両自体は北指揮隊に配備されている事から、出来るだけ北指揮隊が出動する事が望ましいとされています。
(2012年10月現在)
優先順位 |
出動要請時の状況 |
組み合わせ |
1 |
出動可能 |
北指揮隊 |
西指揮隊 |
2 |
西指揮隊出動不可 |
北指揮隊 |
東灘指揮隊 |
3 |
北指揮隊出動不可 |
西指揮隊 |
東灘指揮隊 |
本部監察隊
本部監察隊は、市内全域での大規模な災害に出動し、現場の隊員の活動などについて監察業務を行う部隊です。
総務省消防庁から貸与された無線中継車を運用しています。
前身である本部指揮隊は2004年4月に中央消防署栄町出張所に発隊し、2013年9月までの9年半、
市内全域の建物火災や特殊災害に出動し、指揮支援業務や監察業務を行ってきました。
元々は2003年6月に西区伊川谷町の建物火災現場で発生した殉職事故を受けて指揮体制の見直しと強化が図られたもので、
火災現場では隊員の安全管理などに当たるほか、各隊の動きをチェックして記録、以後の活動に生かす役割を持っていました。
しかし2013年10月の指揮体制の変更に伴い解体され、本部指揮隊長(消防司令長)は中央や長田などに指揮隊長として割り振られ、
再編成のもと新たに監察業務だけを行う専門部隊「本部監察隊」として発足しました。
本部監察隊は消防局警防部司令課直轄の部隊であり、指揮隊経験豊富な消防司令補2名で編成されています。
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本部監察隊 防火帽 |
本部監察隊 活動帽 |
指揮隊一覧、及び指揮人数は以下の通り。
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発隊年月順
発隊年月 |
隊名 |
人数 |
車体番号 |
備考 |
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平成16年4月 |
本部指揮隊 |
4人 |
神消2 |
2013年9月解体 |
平成16年10月 |
西指揮隊 |
3人 |
西75 |
2010年4月から3名体制→西75に変更 |
平成17年10月 |
北指揮隊 |
3人 |
北75 |
2010年4月から3名体制→北75に変更 |
平成19年4月 |
灘指揮隊 |
2人 |
灘70 |
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平成19年4月 |
長田指揮隊 |
3人 |
長田75 |
2013年10月から3名体制→長田75に変更 |
平成20年4月 |
中央指揮隊 |
3人 |
中央75 |
2013年10月から3名体制→中央75に変更 |
平成20年4月 |
須磨指揮隊 |
2人 |
須磨70 |
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平成21年4月 |
兵庫指揮隊 |
2人 |
兵庫70 |
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平成22年4月 |
東灘指揮隊 |
3人 |
東灘75 |
2013年10月から3名体制→東灘75に変更 |
平成22年4月 |
垂水指揮隊 |
2人 |
垂水70 |
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平成25年4月 |
北神指揮隊 |
2人 |
北71 |
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平成25年10月 |
水上指揮隊 |
2人 |
水上70 |
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平成25年10月 |
本部監察隊 |
2人 |
神消3 |
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指揮隊の運用車両
東灘75
東灘統括指揮隊 |
灘70
灘指揮隊 |
中央75
中央統轄指揮隊 |
水上70
水上指揮隊 |
北75
北統括指揮隊 |
北71
北神指揮隊 |
兵庫70
兵庫指揮隊 |
長田75
長田統括指揮隊 |
須磨70
須磨指揮隊 |
垂水70
垂水指揮隊 |
西75
西統括指揮隊
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神消3
本部監察隊 |
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