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神戸市の救助体制




神戸市では市内を第1方面から第5方面までに分類し、その各方面に1隊ずつ専任救助隊を配置、
残りの専任救助隊が置かれていない署には署救助隊を配置し、合計11隊配置しています。
建物火災事案や救助事案が発生した際には必ず専任救助隊と署救助隊の両方が出動し、
現場では専任救助隊長が救助指揮を執り、隊員および署救助隊はその指揮の元で活動を行います。
建物閉じ込めや自転車挟まれなどの救助隊1隊で対応可能な事案は「限定救助」と呼ばれ、どちらか1隊が出動します。

神戸市はに挟まれた大きな街であるため、火災での救助や交通事故救助のほかにも、
山の事故や水の事故にも対応しなければなりません。
とはいえ山岳救助隊や水難救助隊が特別に設置されている訳ではなく、全ての専任救助隊が山岳水難共に対応しています。
また、須磨署救助隊や水上署救助隊も、その地域特性から水難救助事案に対応できる装備が整えられています。

去る2006年4月には、中央消防署に特別高度救助隊
「スーパーイーグルこうべ」(SEK)が発隊し、
神戸市の救助体制の更なる強化が図られると共に、兵庫県下の消防救助隊のトップとして活躍しています。
なお、翌2007年4月に消防体制の再構築の名の下に水上消防署に配置換えされましたが、
2013年10月、津波対策などの理由から中央消防署へと再び戻されました。





通称:署救
(しょきゅう)
署救助隊はポンプ隊と兼任している救助隊で、 市内の専任救助隊が居ない署と分署に計6隊が配置されています。
専任救助隊が1隊5名編成であるのに対し、こちらはポンプ隊と兼任のため1隊4名編成となっています。
活動服、防火服はポンプ隊と同じですが、しころのみ紺色ではなくオレンジ色。しころの後ろには青で隊名が入ります。
基本的にはポンプ隊扱いで、紺色の活動服を着た隊員がポンプ付救助車を運用します。
ポンプ付救助車には、省令別別表第1に掲げるもの、及びその他地域の特性に応じた救助器具が積載されています。


隊員は原則として救助課程修了者(救助隊の資格を持つ者)で構成されますが、
署救助隊以外に消防隊が置かれていない署では、稀に救助資格を持っていない人が
配置されている事もある様です。基本的にはポンプ隊扱いとはいえ、
火災事案の第一出動隊であった場合や救助事案では救助隊として活動します。
また近年では署救の装備、技術共に以前よりも各段に向上しており、
専任救助隊とほぼ同等の活動が出来る様になってきているそうです。









通称:専救
(せんきゅう)
専任救助隊は市内5つの署に計5隊
(内1隊が特別高度救助隊)が置かれ、救助工作車を運用しています。
専救の救助工作車には、省令別別表第1及び第2に掲げるもの、その他必要な救助器具が積載されています。
1隊5名で編成されていますが、実際には休みの関係上、普段は4〜5名で運用されています。

火災や交通事故、機械による事故や、山や海での事故等さまざまな救助活動を専門としています。
基本的に最先着の専任救助隊の小隊長は、救助指揮隊長として救助部隊の指揮を執ります。
(ただし後から特別高度救助隊が到着した場合には、特別高度救助隊長に救助指揮権限が移行。)
また、火災事案では4名の隊員のうち1名(機関員)が通信連絡員として現場指揮所に入ります。
そのため4名出勤の日であれば残り2名、全員出勤(5名)の日であれば残り3名が
実際に屋内進入などを行う活動隊員となり、ほかの救助隊と連携して臨機応変に対応しています。

防火服は上下、しころ共にオレンジ色で、しころの後ろの部分には青色で隊名が入っています。
活動帽や防火帽には、イーグルマークと方面を表す数字が書かれたステッカーが貼られています。

2007年4月、消防体制の再構築により、専任救助隊の配置が東灘・中央・北・長田・西から、
灘・水上・北・長田・垂水に変更されました。








愛称:「スーパーイーグルこうべ」
通称:SEK(エス・イー・ケイ)
日本の消防救助隊の頂点である「特別高度救助隊」。
全国の政令指定都市と東京消防庁に設置する事が決められている、消防救助隊の中でもトップのエリート集団です。
東京消防庁ではハイパーレスキュー隊として有名ですが、神戸市では「スーパーイーグルこうべ」の愛称で親しまれています。
スーパーイーグルこうべは、電磁波探査装置や二酸化炭素探査装置などの高度救助資器材を備えた、神戸が誇る救助部隊です。

特別高度救助隊は1隊6名(普段は5〜6名)で編成され、消防局警防部直轄の部隊として第2方面専任救助隊を兼ねています。
活動服は他の救助隊と違い、背中に青地に黄色字でSUPER EAGLE、その下に赤字で大きくKOBEと入ります。
また、ベルトや服の一部も青色で、ヘルメットのイーグルマークもオレンジではなく青色となっています。
管内の救助事案への出動はもちろん、災害によっては全市、全国、どこへでも出動します。
緊急消防援助隊、国際消防救助隊(毎月15〜18日)にも登録され、常時出動できる体制が整えられています。

2013年10月、特別高度救助隊は特殊災害隊(別項神戸市の特殊災害対応体制で説明)との一体運用を開始しました。
今までは本部指揮隊*と特殊災害隊が一体運用として警防部直轄部隊となっていましたが、
今回の再編により本部指揮隊が外れてSEKが加わり、「特別高度救助・特殊災害隊」として警防部直轄の部隊となりました。
*本部指揮隊は2013年9月末で解体されました

そのため中央消防署に配置されている特別高度救助隊と特殊災害隊には、それぞれの小隊長に加え、
神消50というコールサインのこの2隊を束ねる専任の
中隊長(消防司令、指揮隊の中隊長とは別)が置かれています。
中隊長はイーグルステッカーの付いたオレンジ色のヘルメットを被り、神消30(救助工作車)の後方左席に乗車しています。
各小隊長には消防司令補の階級に当たる人が就いています。


この2隊の一体運用により、NBC災害などでは特殊災害隊が物質の検知、
特定、漏洩防止などを行い、特別高度救助隊が救出活動を担当するなど、
よりスムーズな活動が行えるようになりました。









救助隊ごとの検証担当
各専任救助隊にはそれぞれ特化して検証、訓練するべき分野が決められています。
各担当は以下の通りです。

部隊 担当分野
第1方面(灘30)   建物等による事故
第2方面(神消30) 震災等の災害
第3方面(北30) 山岳救助
第4方面(長田30) 水難救助
第5方面(垂水30) 火災救助

神消30はそれ以外にも、都市型ロープレスキューの検証やブリーチング、
  流水救助やCSR(瓦礫下の救助・医療)など、幅広い分野の検証も行っています。






神戸市消防局 救助隊キャップ
(すべての専任救助隊共通)




神戸市消防局 救助隊エンブレム
(すべての救助隊共通)






救助隊員になるには
救助隊員になるには、まず救助課程を修了する必要があります。
これは自己推薦であるため誰でも申し込めますが、救助課程を受けるための試験がまた別にあります。
これに受かって初めて、救助隊への第一歩を踏み出せるそうです。
訓練には毎年交代で現役の専任救助隊員が指導員として呼ばれ、訓練生に対して愛のこもった檄を飛ばしています。
2週間の訓練の最後には、通称10マイル(テンマイル)と呼ばれる六甲山持久走が行われます。
神戸救助の名物とも言えるこの10マイルは、合間に筋力トレを挟みながら夜間もひたすら走り続ける過酷なもので、
神戸市以外の消防本部からも参加者が来るほど有名。10マイルは数十年も続く神戸救助の伝統となっています。
また、無事救助課程を修了しても救助隊に配属されると決まった訳ではありません。
今まで通りポンプ隊などの自分の部隊で活動し、いつか人事異動で救助隊に配属されるのを待つしかないのです。
その上救助課程を修了してすぐに専任救助隊に配属されることはなく、署救助隊から現場経験を積む事になります。
救助隊員としての経験と技術を向上させた暁には、オレンジ服の専任救助隊員、さらには特別高度救助隊や航空機動隊員など、
人名救助のエキスパートとしての道が用意されています。






神戸市救助隊の運用車両一覧

  隊名 管轄区 配置場所 車体番号 種別 型式 クレーン ウインチ
第1方面専任救助隊
(灘専任救助隊)
東灘・灘 灘消防署 灘30 救助工作車 U型 直進式 フロント
第2方面専任救助隊
(特別高度救助隊)
中央・兵庫 中央消防署 神消30 救助工作車 U型 直進式 フロント
第3方面専任救助隊
(北専任救助隊)
北・西北東部 北消防署 北30 救助工作車 U型 直進式 フロント
第4方面専任救助隊
(長田専任救助隊)
長田・須磨 長田消防署 長田30 救助工作車 U型 直進式 フロント
第5方面専任救助隊
(垂水専任救助隊)
垂水・西 垂水消防署 垂水30 救助工作車 U型 直進式 フロント
東灘署救助隊 - 東灘消防署 東灘33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント
水上署救助隊 - 水上消防署 水上33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント
北神署救助隊 - 北消防署
北神分署
北33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント
兵庫署救助隊 - 兵庫消防署 兵庫33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント
須磨署救助隊 - 須磨消防署 須磨33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント
西署救助隊 - 西消防署 西33 ポンプ付救助車 U型 なし フロント





ヘルメット貼付ステッカー
神戸市の専任救助隊員のヘルメット側面に貼り付けられているステッカーのデザインです。
方面指定のない署救助隊員は、以下の画像から数字を除いた物を貼り付けています。

※私の撮影した画像から切り出したものです。無断使用は禁止します。

第1方面

第2方面

第3方面

第4方面

第5方面

















            








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