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神戸市航空機動隊・兵庫県消防防災航空隊



神戸市にはポートアイランドにある神戸ヘリポート内に、独自に運航している航空隊、「神戸市航空機動隊」が存在します。
またこの神戸市航空機動隊は兵庫県の消防防災航空隊と共同運行しており、全国でも珍しい体制になっています。
ここではその神戸市航空機動隊・兵庫県消防防災航空隊(以下、併せて航空隊と表記します)について紹介していきます。

神戸市の航空隊は、約40年前の昭和47年(1972年)に、前身となる「消防機動隊」が発足してスタート。
昭和56年(1981年)には2機保有による常時1機稼働体制となりました。
当初は北区ひよどり台にある神戸市民防災総合センター内の神戸消防ヘリポートを拠点としていましたが、
平成元年(1989年)に今の神戸ヘリポート内へと基地を移転して活動しています。
一方の兵庫県消防防災航空隊は、警察航空隊への運行委託を経て平成8年(1996年)10月に正式に発足、
平成16年(2004年)4月から全国で初めて
県と市の共同運行を開始し、3機保有による常時2機稼働体制となりました。
現在は365日、8時45分〜17時30分までの間(飛行は日の出〜日没まで)で運行しています。



航空隊の組織

ではまず航空隊の組織についてご紹介します。(組織表画像の引用:航空隊HPから)




この様に神戸市と兵庫県の航空隊は共同運行しているため、航空隊の中には神戸市消防局に所属する隊員と、
兵庫県下の消防本部から派遣されている隊員とが混在しています。
航空隊長は消防監の階級の方、副隊長には消防司令長、各係長には消防司令の階級の方が就いておられます。
もちろん出動範囲は神戸市域のみならず兵庫県全域ですが、共同運行ならではの部分もあったりします。
例えば隊員の出動手当、これは市域への出動であれば神戸市から、県域への出動であれば県から支払われる事になっています。



出動に際しては、火災事案・救助事案・偵察飛行ともにパイロット2名、整備士1名、航空救助隊員3名の計6名で出動します。
救急事案でドクターやナースを乗せる場合については救助隊員を2名にし、ドクターやナースをピックアップして出動します。
各係には以下の様な任務が与えられています。

【航空係】
航空係は、ヘリコプターの運航を担当している部署です。
パイロット6名(+副隊長)と事務職員1名が所属しており、
パイロットはBK-117型機を操縦する免許を有しています。
後述の様に、航空隊が所有する機体は全てBK-117型機のため、
ひとつの免許で全ての機体を操縦することが出来ます。
7名のパイロットが毎日ローテーション勤務で常時2機を飛ばしています。


【整備係】
整備係は、ヘリコプターの整備を担当している部署です。
所属する整備士7名はBK117型機の一等航空整備士資格を有しています。
ヘリコプターは飛行時間50時間毎の点検をはじめとした様々な点検が必要になるため、
整備士は航空隊に必要不可欠です。整備士はそれぞれ機付き整備と呼ばれる、
○○さんはこの機体を担当という形で全て専任化されています。
さらに整備士は出動の際にもローテーションで常に1名は機体に同乗し、
ヘリテレの操作や救助活動のアシストを行っています。


【航空救助係】
航空救助係は、ヘリコプターでの救助活動を担当している部署です。
神戸市4名、県下7名の計11名の救助隊員が所属しており、
うち3名は救急救命士の資格を有した隊員となっています。
航空救助隊員は地上の救助隊員や隊長として豊富な経験を
詰んだ者から選ばれる為、まさにエリート揃いの部隊です。
隊員のヘルメットには上空の機内の隊員から判別が出来るよう、
救助隊員には稲妻マーク、救命士にはAのマークが描かれています。





航空隊が保有する機体


航空隊には、神戸市航空機動隊が保有する2機と、兵庫県消防防災航空隊が保有する1機の計3機が配備されています。
機体は全て川崎重工製の中型機であるBK-117型を採用しており、救助・救急などマルチに対応出来る装備を備えています。
神戸ヘリポート内の格納庫はかなり年季が入っているものの、中は非常に綺麗でヘリが横に2機並べる広さがあります。
また事務室や食堂なども併設されており、一つ隣にある格納庫は整備専用場所として、さらに1機が格納できるようになっています。





    <KOBE-T>
機体名 KOBE−T 神戸市でこれまでに4番目に導入された4号機。
先代は2号機であるKOBE-Uで、この現在の機体も2014年11月を持って
運行を終了し、新しい後継機が2015年2月から導入される予定です。
すべてアナログ計器のクセの強い機体で、機長さん曰くじゃじゃ馬だとか。
20年の長きに渡って神戸を守ってくれたベテラン機体。
いまは神戸のレスキューヘリとしての最後の任務に就いています。
機体番号 JA6739
コールサイン 神消ヘリ1
機種 川崎BK-117 B-2
運行開始 1994年12月





    <KOBE-U>
機体名 KOBE−U 神戸市でこれまでに5番目に導入された、現在最新の機体である5号機。
先代は3号機であるKOBE-V(BK117B-2)で、一回り大きいC-2へと
グレードアップして更新されました。計器はデジタル表示に変わり、
オートパイロットや動態管理システムなどの最新装備を備えています。
ヘリ5と同型機のため、ヘリテレ装置などは載せ替えて対応可能。
神戸救助のシンボルであるイーグルマークが描かれています。
機体番号 JA02KB
コールサイン 神消ヘリ2
機種 川崎BK-117 C-2
運行開始 2007年3月





    <ひょうご>
機体名 ひょうご 兵庫県消防防災航空隊でこれまでに2番目に導入された2号機。
先代のひょうご1号機(BK117B-2)からC-2へと更新されました。
コールサインは神消ヘリ5ですが、機体は兵庫県が購入したもの。
機体番号の28は兵庫県の県番号、HYはHYOGOの頭文字が由来です。
こちらもKOBE-Uと同じく最新鋭のシステムを装備しており、
市域県域問わず活躍しています。
機体番号 JA28HY
コールサイン 神消ヘリ5
機種 川崎BK-117 C-2
運行開始 2006年2月




機体の装備


航空隊のヘリコプターには、様々な装備が備えられています。
代表的なものとして、
ホイスト装置があります。
これは隊員を地上へと投入したり、地上から隊員と要救助者を吊り上げる際などに使用します。
ホイスト装置は機体によって異なり、現在は2種類の装置が使われています。
ヘリの購入時、ホイスト装置は機体の左右どちらでも選ぶことが出来ますが、右側の方が機長席から見えやすいとの事です。
今度の新しいKOBE-TもKOBE-Uやひょうごと同じ物になる予定だそうです。

KOBE-Tのホイスト装置(機体左側)
ケーブルの長さ:45m
フック部分が小さく取り回しが良い。
KOBE-Uとひょうごのホイスト装置(機体右側)
ケーブルの長さ:90m
水に浮くオレンジ色のバンパーが備えられている。視認性は高いが少々持ちづらいとか。



ほかにも主要な装備として、
ヘリコプターテレビ中継システム(通称:ヘリテレ)と呼ばれるものがあります。
これは機体に取り付けたビデオカメラの映像を地上に伝送できるもので、現在は消防局管制室のほか、
神戸市内の各指揮隊が持つノートパソコンなどでリアルタイムに映像を見ることが出来ます。
このカメラは可視画像と呼ばれる普通の映像と、赤外線画像と呼ばれる温度によって色が変わる映像の両方が撮影できます。
例えば現場の状況は可視映像で、どこが燃えてるか、くすぶっているかは赤外線映像で確認するといった使い分けを行っています。
カメラは機体から簡単に取り外し・取り付けができるため、必要に応じて載せ替えることが出来ます。

ヘリテレカメラ部分
スキッドと呼ばれる脚の先端に取り付け、
360度撮影する事が可能です。
ヘリテレアンテナ部分
スキッドの後端に取り付けられており、
使用するときは下向きに折れ曲がります。
ヘリテレ装置&ディスプレイ部分
機内の操縦席後ろに設置されたヘリテレ装置。
中央左側の画面に映像が映し出される。





その他の設備


航空隊の基地には、ヘリコプターを運航するための設備や救助活動を行う為の資器材などが備えられています。
それらを少しご紹介します。

機体を格納庫の外まで引っ張り出すためのトーイングカー。右の装置なども牽引する。 ヘリコプターのエンジンを始動させるための
外部電源を供給する装置。


隊員を地上から回収したり、移動したりする
ための車。コールサインは航空指揮1。
ヘリコプターに航空燃料を給油するためのタンクローリー(給油車)
1号車と2号車があり、燃料は神戸空港へと買いに行っているとのこと。




神戸市の航空隊運用体制


神戸市は全国でも非常に珍しい、と言いますか恐らく神戸だけがやっているであろう運用体制が取られています。
それはヘリコプターの出動が、消防車や救急車と同じように出動計画に組み込まれていることです。
どういうことかと言えば、例えば普通の建物火災第一出動、他の都市ではまずヘリなんて飛ばしません。
しかし神戸では
建物火災第一出動からヘリコプターに出動指令が掛かります。(主な任務はヘリテレ伝送)
他にも高層建物火災、林野火災、隧道火災、高速道路上の車両火災、高速道路上の救助、山岳救助、水難救助などなど。
すべて第一出動でヘリが呼ばれ、隊員は常に6名搭乗で現場へと向かいます。
そのため航空隊基地には右の写真のような、消防署にある出動表示板のヘリバージョンがあり、
出動指令と同時に「ヘリ」のところが点滅し、いずれかのヘリを出動させています。

もちろん火災でも誤報だったり即鎮火だったりは良くあり、
その場合は飛び立った直後でも何事もなかったかのように反転帰投しています。
これらは「せっかく市民の血税で買ったヘリなのに、有効活用しないともったいない」
という神戸市の考えからだそうです。その結果、平成25年度の出動件数はなんと422件!
多い年だと建物火災に143件、山岳救助に80件、救急に225件も出動している事もあるぐらい、
とにかく出動が多いのが特徴です。

平成25年度出動件数表
  建物火災 林野火災 その他火災 水難救助 山岳救助 その他救助 救急 その他 応援 合計
兵庫県域 1件 7件 1件 3件 31件 2件 106件 8件 1件 160件
神戸市域 115件 16件 6件 24件 39件 21件 33件 5件 3件 262件



こんなに出動が多い中、週に3〜4回は山間部での訓練を実施しているとのことですから、大変さがとても良く分かりますね。
ちなみに航空隊に出動指令が掛かってから、ヘリを格納庫から出し、エンジンスタートして離陸するまでがおおよそ6〜8分程とのこと。
飛行時間は燃料と重量のバランスから1時間〜2時間ほど飛べる様にしているそうで、六甲山系での山岳救助には十分な時間だそうです。


そしてもう一つ、神戸市航空機動隊・兵庫県消防防災航空隊の特徴と言えるのが、ラペリング技術の高さとその機会の多さ。
他の航空隊でもイベントなどでロープ1本でヘリから降下する所を見ることはありますが、実際の救助現場ではホイスト投入が一般的。
しかし神戸市航空機動隊・兵庫県消防防災航空隊では実際の救助現場でもラペリングにて隊員を投入する場合が多いといいます。
そのため隊員さん曰く神戸のラペ技術は日本の消防航空隊でもトップクラスだとか。
またその隊員さんの活動を支えるパイロットと整備士の方々の技術の高さもすごいものです。
以前機長さんにホイスト救助時のホバリングはどれほど難しいのかと尋ねたところ、
「一輪車に乗ってその場で止まりながら、片手にそばを持ち、もう片方で携帯で電話するぐらい」
隊員の投入についても、「ビルの10階からロープを垂らして、1mの輪の中にぴったり入れるぐらい」だそうです(驚き)
空の上から人の命を救うという仕事が、いかに大変かが分かりますね。





最後に、神戸市航空機動隊が公式にアップロードしている動画をご紹介して終わりたいと思います。
(全てyoutubeへのリンク)

【発見!こうべおしごと調査隊】消防局−航空機動隊の仕事


【神戸市航空機動隊】出動指令を受けてから、ヘリが出動するまで


【神戸市航空機動隊】クライミング中の滑落事故での救助活動


【神戸市航空機動隊】滑落からの道迷い


【神戸市航空機動隊】西宮市、梅雨時期にもかかわらず、林野周辺で火災


【神戸市航空機動隊】消防ヘリコプター出動現場映像










            








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