No.4 神戸消防の車体番号は、どうやって決められているの?
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今回は車体番号のお話です。
そもそも車体番号って何?と言う方や、神戸消防の車体番号はどういう付け方なのかよくわからないと言う方、
結構多いのではないでしょうか。と言うわけで、神戸消防の車体番号について詳しく説明していきます。
さて、皆さんは神戸市の消防車や救急車を見かけた事はあるでしょうか。
その際、ドアの部分に何やら文字と数字が書かれているのを見たことはありませんか?
そう、これが車体番号と言われる物です。
これは神戸市が保有する消防車両、救急車両を管理するために割り振られているもので、
それぞれの番号にはちゃんと意味があり、これを見るだけでその車がどんな車両なのかが大体分かります。
そもそも車体番号は全国統一の物ではなく、各消防本部ごとに独自に決めて付けられているものなので、
書き方やそれぞれの文字が持つ意味は全く異なります。また、車体番号が車体に書かれていない本部もあります。
今回は神戸市消防局に限っての説明ですので、ある意味偏った情報にはなりますがご了承下さい。
さて、それではこの車体番号の読み取り方について説明していきます。
まず、上の段に書かれている「神戸市」と言うのは、そのまま神戸市の車両である事を表しています。
全国的には「○○市消防局」などと書かれている事が多いのですが、神戸は昔から「神戸市」としか書いていません。
総務省消防庁から貸与された車などには「神戸市消防局」の文字が入っていますが、基本は変わりません。
なぜなら神戸市消防局の車両には「神戸市 ○○」と書かなければならないと市の規定で決まっているため。
下の写真の様に「神戸市消防局」の表記があるのに、まだ無理やり「神戸市」と入れるぐらいですからね。
ちなみにこの「○○市」としか書かない形式は、神戸市周辺の市町村の消防本部に多く見られます。
芦屋市、加古川市、高砂市などがありますが、これは自治体消防発足時に神戸を真似た為だそうです。
そして「神戸市」の文字の下の段、ここが“車体番号”です。
まず、一番上の写真の左側、「中央3」と書かれた消防車を例に見ていきます。
お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、中央と言うのは中央消防署の車両である事を表しています。
正確には中央消防署“管内”の消防車、つまり中央区にある消防署・出張所に置かれている車両と言う事です。
現在、中央消防署管内には中央消防署、栄町出張所、山手出張所の3つの署所がありますが、
これらに配置されている消防車の車体番号は全て「中央」と書かれています。
なので、中央と書かれているから中央消防署の車両と言う訳でもなく、栄町出張所や山手出張所の車かも知れません。
これが神戸消防の車体番号のややこしい所のひとつです。
あとはこの要領で、東灘区内の消防署・出張所に配置されている車は「東灘」と書かれており、
灘は「灘」、中央は「中央」、同様に北、兵庫、長田、須磨、垂水、西となっています。
ひとつだけ例外として「水上」と言うのがあります。
これはポートアイランドを管轄に持つ水上消防署の車で、本来このポートアイランドは中央区に属するのですが、
水上消防署に配置される車は「中央」ではなく「水上」になります。
では、続いて後半の数字の部分についてです。
これが最もややこしく、ハッキリ言って覚えない限り表を見ないとわかりません。
例えば他の消防本部では「△△ポンプ1」と書かれていれば、
「これは△△消防署のポンプ車の1号車なんだな」と分かるようなものですが、神戸市の場合そうはいかないのです。
所属を表す漢字の後の数字にはそれぞれ「○○番ならポンプ車、○○番なら30m級梯子車」などの意味があり、
各消防車には種類ごとにその種類に対応した数字が付けられます。
とまぁ言葉で言ってもわかりにくいですので、以下の表をご覧下さい。
車体番号 |
種類 |
1,2,3,
4,5,6 |
小型ポンプ車 |
5,7 |
資材搬送ポンプ車 |
8,10 |
10t水槽車 |
11,12 |
水槽付ポンプ車 |
13,14 |
化学車 |
15 |
屈折梯子車 |
17 |
30m級梯子車 |
18 |
50m級梯子車 |
20 |
放水塔車 |
21、22 |
特殊災害対策車 |
23 |
泡原液搬送車 |
24 |
大型化学車 |
25 |
空気充填照明車 |
26 |
指揮救援車 |
27 |
15m級梯子車 |
28、29 |
高所活動車 |
30 |
救助工作車 |
31 |
特別高度工作車 |
33 |
ポンプ付救助車 |
38,39 |
消防艇 |
60,61 |
査察広報車 |
70、71 |
指揮車 |
83 |
燃料補給車 |
88 |
支援車 |
89 |
輸送車 |
90,91,92,
93,94,95 |
高規格救急車 |
99 |
人員搬送車 |
100 |
大容量ポンプ車 |
120 |
ホース延長車 |
えー、表を見てもよくわからないかも知れませんね。
例えば、車体番号が1〜6の間の数字であればその車は小型ポンプ車、と言う感じです。
そして11か12なら水槽付ポンプ車(タンク車)、13、14なら化学車と言う具合。
「あれ?5だけ被ってない?」と気付いた方、そうなんです。
資材搬送ポンプ車は基本的に「5」なのですが、
北だけは北5と言う小型ポンプ車が居るため、
代わりに「7」を資材搬送ポンプ車に割り当てています。
そのため5がダブってしまっています。
なお注意事項として、この表にある数字と車種、ずっと同じとは限らないので注意が必要です。
実際に過去に何度か部分的に変更があった事があります。
例えば「29」と言う数字、今は高所活動車となっていますが、数年前までは支援車の車体番号でした。
しかしその支援車が廃車となり、29番は空欄となってしまいました。
そしてちょうどその時北消防署に高所活動車を置く必要があり、空いていた29番を使って北29とした訳です。
本来なら高所活動車は28番を使うのですが、既に「北28」と言う高所活動車が北神分署に存在していたため、
かつ28と連番になる「29」が空いたため、それを使って北29となりました。
他にも過去にさかのぼれば今の指揮救援車の26番も、昔は今は無き照明電源車の番号でした。
この様に何度も変更が行われていますので、その都度確かめる必要がありますね。
さて、大体の説明はこのぐらいです。(まだ続くの?)
実を言うとまだ「神消2」、「神消7」などの“例外”車両もあるのですが、
これ以上話しますとあまりにもややこしすぎますので、今回はこの辺にしておきましょう。
・・・ええ、そうですね、「訳が分からない」と言う方が多いと思います。
神戸消防の車体番号を見て、「あ、これは○○出張所の△△車だな」と分かるようになるには、
まず数字を覚えなければならず、そしてその車両がどの署所に居るのかを覚えなければなりません。
と言う訳で、やはり「車体番号から車種と配置先を読み取るには覚えるしかない」と言う事ですね。
そうは言いましても覚える人なんて少ないでしょう(笑)
このページはあくまで車体番号の表記についての説明ですので、覚える必要もありません。
そういうもんなんだな、と思って頂ければそれでオールOKです。
ただもしよかったら、今度市内で消防車や救急車を見かけた際、ちょっと気にして見てみて下さい。
「あれ?ここ垂水区なのに今の救急車“中央90”って書いてなかった?わざわざ中央区から来たの!?」
なーんて事があるかもしれません。
最後に豆知識をひとつ。
この車体番号の書いてある場所、普通は車両のキャブ(人が乗るところ)の前寄りのドアの窓の下、
及び(古い車両を除き)車両後面の右上に書かれています。
また新しい車両だと、車両全面の右端(フロントガラスの下)にも書かれるようになりました。
でもこれ「救助工作車」と「ポンプ付救助車」では車体番号の書いてある位置が違うんです。
救助工作車は普通と同じ場所なんですが、ポンプ付救助車は後部座席側のドアに書かれているんです。
救助工作車(左)は専任救助隊が乗る車、ポンプ付救助車(右)は署救助隊が乗る車。
外見だけではどちらか分かりづらい両者も、これによって一目瞭然!と言う訳です。
こう言ったちょっとした違いや理由を探してみるのも、なかなか面白いかも知れませんね。
以上、「神戸消防の車体番号は、どうやって決められているの?」でした。
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