神戸市消防局 非公式ファンサイト

サイト内検索

      TOP消防情報館そこが気になる神戸消防>No.1 通報から出動までの流れはどんな感じ?〜火災編〜






No.1 通報から出動までの流れはどんな感じ?〜火災編〜



神戸市消防局では、市内からの119番通報はすべて危機管理センター4階の消防管制室で受信しています。
(消防管制室の詳細については、「神戸市の管制体制」で紹介しているのでここでは省略します。)

それでは、神戸市内から119番通報をかけた場合の流れについて
詳しく説明していきます。

ここで出てくる住所や通報内容、災害状況などは全てフィクションですので、実際にあったものではありません。
また各種細かい状況などは、神戸市や大阪市等で実際に管制業務に携わる職員の方から直接伺ったものです。




〜 火災事案 〜

「プルルルルル・・・」 管制室に火災を告げる第一報が入ります。
目の前の画面にはNTTの固定電話回線からの着信であることを示すランプが点滅、
完成係員が受信ボタンを押下し、聴取を開始します。


管制係員 「はい、119番、神戸市消防局です。火事ですか?救急ですか?」
通報者 「か、火事です!」

耳に付けたヘッドセットから、住民の助けを求める声が聞こえてきました。
しかし、管制係員は冷静に対応します。落ち着いて話しかけることにより、相手も落ち着かせる効果があります。
まずは火事か救急かを聞き、続いてその状況や対象物、逃げ遅れ等を迅速に聞き出していきます。
と、その前に、まずは最初に住所を聞きます。

管制係員 「わかりました、場所はどこですか?」
通報者 「中央区○○町1丁目、1−9です!早く来て!」

住所はどんな事案でも出来るだけ早く聴取します。
これには大切な理由があり、例えば通報者の気が動転していて状況などを上手く話せない場合でも、
場所さえ分かれば他が分からなくてもとりあえず部隊を向かわせることが出来ます。
といっても今はNTTの固定電話からの通報であれば、逆探知機能を利用して発信場所が瞬時に特定され、
指令台の画面に映る地図上に反映される様になっています。この場合誤差はほぼありません。
携帯電話からの通報であれば、携帯のGPS機能や電波を受信したアンテナの場所などからおおよその範囲まで
絞り込むことができ、同様に画面の地図上に反映されるようになっています。
ちなみに非通知設定でかけたとしても、必要であれば強制的に番号を表示させて場所を特定する事が可能です。

管制係員は聞き出した住所をすぐにコンピューターに打ち込み、聴取を続けます。

管制係員 「わかりました、落ち着いて下さい。中央区○○町1丁目、1−9ですね?なにが燃えていますか?」
通報者 「家です!うちが燃えてます!コンロから火が燃え移って・・・早く来て!早く!」
管制係員 「奥さん落ちついて、家族の人は皆さん無事ですか?」
通報者 「無事です!今主人が消火器で消そうとしてるんですけど消えなくて!どんどん燃えて・・・キャーッ!」

この様に、通報者の多くは気が動転してしまっています。中には住所すら言えずに切ってしまう事もある様です。
しかし、管制係員は常に冷静な口調で通報者を落ち着かせ、出来るだけ確実な情報を聞き出していきます。
そしてこの時点で
災害発生場所 対象物 が分かりました。この場合だと、家が燃えているので建物火災です。
さらに「うちが燃えています」と言う言い方から、この通報者がこの家の家人である事もわかりました。
また家族は無事であるとの事ですが、消火器での初期消火には失敗している様子です。
つまり火災はこれからどんどんと延焼をはじめて行き、一刻も早い消防隊の到着が求められます。
仮に今回のように燃え始めてすぐの通報ではなかった場合、消防隊到着時、既に火災は最盛期を迎えている可能性も。
この様にして通報内容からあらゆる情報を拾いあげ、聴取時間を出来るだけ短く、且つ確実にしていきます。
同時に別の管制係員が「中央管内で建物火災を受信中」である事を全署所に伝えます。これが予告指令です。

予告指令は無線及び指令回線で一斉送信され、それを聞いた各署の受付担当の職員が、署内に放送を流します。
この時点では出動隊は知らされていませんが、出動が掛かりそうだと判断した隊は仕事や食事の手を止め、
出動が掛かったらすぐに飛び出せるよう、車庫へ向かい準備を始めます。



  管制係員 「わかりました、すぐに消防車が向かいます。
        あなたの名前と電話番号を教えて下さい。」


  通報者 「○○です!078-***-****です!」

   管制係員 「○○さんですね?わかりました、
       あなたも旦那さんもすぐに家の外へ逃げて下さい。」


  通報者 「はい、早く来て下さい!」



状況によっては通報者に初期消火や避難誘導するように頼むこともありますが、
あまりにもパニック状態になっている人には危ないので頼めません。

また、通報が携帯電話からであれば、
必ず
「電話を切った後、電源を切らないで下さい。こちらからかけ直す事があります。」と伝えます。
また
「危なければすぐに逃げて下さい。」と、身の危険があるならば避難する様に指示します。

名前と電話番号を聞きとると同時に、管制係員はコンピュータに情報を入力、通話を切断します。
ほとんどの管制係員が、通話開始から聴取、通話終了までを約1分ほどで終えています。
通話が終了する頃にはコンピュータが自動的に出動隊を編成して画面上に表示。
管制係員が「これで良い」と判断し、指令を掛けます。

「建物火災、指令!中央管内・・・」音声合成されたコンピュータの声により、
出動指令が流れます。この時、各消防署・出張所には有線で指令が流され、
出動する隊がある署所には
「ピーピーピーピーピーピー」
出動する隊がない署所には「ピーンポーンパーンポーン」
と言う音の後に先程の合成音声による指令が流れます。
本署の場合、指令が流れ終わり受付担当が
「確受」ボタンを押下すると、
コンピュータの合成音声によりその署から出動する車両が読み上げられます。

また署外出務中などで署に居ない隊にも聞こえるよう、無線連動機能により消防無線でも同じ指令が流されます。
そして出動する隊がある署所の指令書出力装置からは地図や住所が書かれた指令書が印刷されてきます。
事務所や車庫に設置された車両動態表示板には、指令が掛かった車両が赤色で点滅表示されています。


  消防署の隊員は、指令が流れると同時に表示板に目をやり、
  自分の隊が出動するのかどうかを確かめ、出動準備場所へとダッシュ。
  防火服を素早く着込み、車両に飛び乗ります。
  機関員は指令書を手に、地図で場所を確認。
  隊長は全員が乗車した事を確認し、
赤色灯サイレンのスイッチをON、
  同時にAVM端末の「出動」ボタンを押下します。


AVM=車両の動態を本部に伝える装置。今その車が出動中なのか、消防署に居るのかなどが分かります。)
これが押されると本部の管制室からその車両が災害出動中である事がわかるようになります。
同時に無線により開局出発(出動)を本部に報告します。

機関員は紙の地図と頭の中の地図で現場までの最短ルートを選出し、安全に、且つ出来るだけ早く現場へと急行します。
緊急走行中は乗車隊員全員で車両周囲の安全確認を行い、後部座席に座る隊員は地図を広げて機関員をサポートします。
部隊の小隊長は隊員と協議しつつ、現着順も考慮して部署する消火栓を決め、所轄指揮隊に無線で報告します。
救助隊であれば活動方針の検討&決定、梯子車を運用する隊であれば、直近部署できるかなどを検討し、報告します。
直近部署=現場のすぐ近くに車両を停めること)

この頃、管制室には先程の通報者とは別の人からの通報が入っており、より詳しい状況が分かってきました。
聞き取った内容はすぐに出動隊へと無線連絡され、活動の上での参考情報として活用されます。
この時点で
要救助者情報がある、若しくは不確定の場合と、要救助者なしの場合では活動方針が異なります。
例えばベランダに要救助者が取り残されているとなれば、梯子車が出来るだけ近くに部署出来る様に場所を確保したり、
在宅か不在かが分からないとなれば、安否が確認出来るまで人命検索を最優先として活動することになります。
現場最高指揮者の中隊長はこれらの情報を考慮し、出動各隊への活動方針の伝達や、部署位置の指示などを行います。


数分後、一番近くの隊が現場に到着しました。
同時にそれを本部へ無線連絡し、AVMの「現着」ボタンを押下します。
一番始めに着いた隊は先着隊として活動を開始し、消火活動や情報収集、
避難誘導等をおこないます。続いて到着した隊もすぐさま活動を開始し、
後の全ての隊が
指揮隊の指揮の下で連携して消防活動を展開していきます。


災害の規模によっては第2出動が掛けられ、部隊の増強が図られます。
めったにありませんが、さらに大きな火災になると第3出動がかかる場合もあります。
逆にボヤ程度で済んだりなどそんなに消防車の数が必要無くなった場合は、一部の隊を残して反転引揚げ指示がかかり、
緊急走行中の車両はサイレンを止めて通常走行に戻って帰署し、現着済の隊は速やかに撤収作業に入り引揚げます。
また、続報により誤報である事が確認される事も良くあり、その場合も速やかに緊急走行を止めて引き返します。



さて、かなり長くなりましたが、火災事案の通報から出動、現着までの流れはこの様な感じです。
もちろん、ここに書いたことが全てではありません。あくまで大まかな流れとして捉えて頂ければと思います。




以上、「通報から出動までの流れはどんな感じ? 〜火災編〜」でした。




            








当HPに掲載されている全ての画像・動画の著作権は、原則として管理人(神消北33)に帰属します。
なお、ご提供画像の著作権に関しましては、各画像提供者様に帰属致します。
当HPの全部、又は一部について、私的利用、引用などの著作権法上認められている適切な方法で利用する場合を除き、
管理人(神消北33)に
無断で複製・転載・編集することは一切禁止します。